聖なる使命を果たそう ‐ 後編「未来引き寄せ型」

|カテゴリ:企業経営とコーチング


本コラムでは、人生を懸ける価値のあるライフワーク「聖なる使命」を明確にできた方が、その使命を果たしていくための方法について述べてみたいと思います。

聖なる使命を発見する方法については、「聖なる使命を見つけよう」をお読みください。

志は人生経験を重ねて進化する

人は、人生の途上で様々な事柄に遭遇して、成功や失敗を体験し、そこから教訓を学び、智恵を身に付けていきます。年齢を重ねるほど智恵が豊富になり、実力が高まって、より高い目標を実現することが出来るようになります。また、容易に諦めることなく努力を続ける人は、多くの物事を現実できる力が強くなってきます。20代・30代・40代と、年を重ねるにつれて明らかに実力が高まっていきます。

人生の最終ゴールとしての「聖なる使命」自体は、心の奥に授かっている (備わっている)ものですから、20代であっても30代であっても、本当は変わらないものなのです。ところが、転職したり起業したりするときなど、人生の転換点において自分の成すべきことが変わったように見えることが何度も訪れるでしょう。

例え自分の成すべきことが変わったとしても、スティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学の卒業式のスピーチで語っていた通り、「コネクティング・ザ・ドッツ」です。

つまり、すべての経験はやがて繋がり、すべての経験が融合されて、成すべきことのスケールが大きくなっていくものです。ですから、どのような進路を歩んだとしても、人生には一切の無駄はありません。

いつか、すべての経験が意味を持っていたことを悟り、人生の奥深さに感嘆する時が来ることでしょう。このように、実力が高まることで、使命のスケールが大きくなるという意味で、志は進化するものであると思うのです。

聖なる使命を視覚化する

ところで、コーチングでは、相手を成功に導くための「絶妙な質問」の仕方を学びます。その中に、チャンクアップとチャンクダウンという二種類の質問形式があります。

チャンクアップとは、思考の塊を大きくしていく質問です。

私とクライアント様の間で「聖なる使命」を発見するためのコーチングセッションのなかで交わされた実例で、チャンクアップを説明したいと思います。「ピアニストとして成功したい」という夢を持っている人に、チャンクアップの質問をしました。

コーチ「なぜピアニストとして成功したいのですか?」
クライアント「聴いてくれる人に感動を与えたいからです」
コーチ「なぜ感動を与えたいのですか?」
クライアント「悲しみや辛い思いをしている人を癒してあげたいんです」
コーチ「なぜピアノの演奏で癒してあげることができるのですか?」
クライアント「音に愛を込めて聴き手の心に届けることで、心が安らいだり、希望を点せるからです」

クライアント様は、ピアニストとして成功とは、聴き手に心の安らぎと希望を点すことであることがわかります。

このように、相手の答えが抽象的になり、高い価値観を引き出すことを、チャンクアップと言います。単なるピアニストの成功だけでなく、その成功が何に結びついてくるのかが、より視覚化されました。

これに対して、「どこで演奏会を開催しますか?」「何人くらいの聴衆の前で演奏するのが最も心地よいですか?」などの質問で、物事を具体的で明確にしていくことをチャンクダウンと言います。

「成果積み上げ型」はチャンクダウンで具体化

以前のコラム『聖なる使命を果たそう ‐ 前編「成果積み上げ型」』では、ドラッカー先生の『経営者に贈る5つの質問』に答える方法を紹介しました。

ひとつ目の「あなたのミッションは何か?」という問いかけは、チャンクアップの質問です。そして、ふたつ目の「あなたの顧客は誰か?」という問いかけからはすべてチャンクダウンの質問です。

チャンクアップの質問でミッションを掴んだ後は、2つ目以降のチャンクダウンの質問に答え切ることで、具体的な成果に結びつく計画を立てることができるのです。そのため、前回のコラムを「成果積み上げ型」と名付けました。

「未来引き寄せ型」はチャンクアップで視覚化

さて、未来引き寄せ型を実践するには、聖なる使命を掴んでから、さらに「チャンクアップ」し、聖なる使命を視覚化(ビジュアライズ)することが大事です。自分自身が、聖なる使命を実現している姿をありありと心に描くのです。

この松下幸之助翁とエジソンの言葉には、相通じる悟りが表れていると思います。

このように、「どうしても聖なる使命を果たしたい」「私が聖なる使命を果たすことは多くの人のために必要なのだ」という強い「想い」を持てば、人は考え続け、創意工夫し、どんなに難しいことでも実現する方法を捻り出すものです。

未来引き寄せ型で使命を果たすために必要な「想像力」と「勇気」

ここで肝心なのは、そのような強い想い、熱意を持つにはどうすれば良いかということです。普通の人は、使命を果たすための熱意が足りないからこそ、現状に満足してしまったり、もう一段の努力を厭ってしまうのです。聖なる使命を果たすためには、まず、「想像力」が必要になります。

二階に上がった自分の姿が想像できるからこそ、二階から眺める素晴らし景色を実際に見たいという熱意が生まれます。つまり、二階に上がった自分を「想像する力」こそが、ハシゴや階段を「創造する力」の生みの親なのです。

想像する力=ビジュアライズする能力は、後天的な努力によって鍛えることができます。ですから、努力してイメージングや空想をするクセをつけることが大事です。イメージする力は自己実現のための大きな能力のひとつなのです。

経営者は業計計画を立てますが、その際に事業を細かく数値化することで、自分が実現したいことの細かなことまでをありありと描くことが出来るようになります。その結果、想像力が創造的な力に転化して、事業が成功し、事業目標が現実化していくことが起きてきます。

仮に、聖なる使命がとても大きな想像、ビッグ・ビジョンであったとしても、その実現をありありと想像することができ、描いたビジョンを持ちつづけることができれば、いずれ実現することができます。そのことを受け入れてください。描いたビジョンを受け入れ、その方向に進むために必要なのは「勇気」です。勇気があれば、夢を持ちつづけ、一歩を踏み出す力が湧いてきます。

何歳まで現役で働くかを決める

聖なる使命を果たした姿や未来ビジョンを描き、その実現を受け入れることができたら、次に目標を立てていきます。本コラムは「未来引き寄せ型」ですから、「現状」に捉われて、「目の前の現実」から出発するのではなく、理想的な未来を設定して、それをグイグイ引き寄せるようなイメージで取り組んでいただきたいと思います。

では、質問です。―― 「あなたは何歳まで現役で働きますか?」

この質問に答えて、聖なる使命を果たすための「持ち時間」を決めてください。

もちろん、人間の寿命には運命的な要素もあると思いますが、自分に与えられた天賦の才を活かして使命を実現したいと心から願い、真剣にチャレンジし続ける人の寿命は長いという傾向があります。さらに、現代では加齢に焦点を当てた予防医学であるアンチエイジング医学 (抗加齢医学) も目覚ましい進歩発展を遂げていて、その知識を学び、実践することで、健康増進や若返りを実現することが十分に可能になってきています。

ですから、まず自分が何歳まで現役で活躍するのかを、自分で決めてください。もし、人生の前半や中盤でつまずきを経験し、「後れを取った」と思ってコンプレックスを持っている人がいたら、寿命を伸ばすためにアンチエイジングを実践して人生挽回を計ればよいのです。

使命を果たすための持ち時間を決める

聖なる使命の達成に期限を設ける

何歳まで健康な状態で現役として働くかという「持ち時間」を決めたら、次に、聖なる使命を果たす時期を設けます。

ゴールに到達する時期を決めたら、人生の持ち時間が長い人は10年区切りに、比較的短期間で達成したい人は持ち時間を3分割にして、それぞれのフェイズの目標を設定してください。「仕事 (使命)」「私生活」「健康」「趣味」「社会貢献」「財産形成」などのカテゴリに分けて目標設定するとより詳細な計画が出来上がることでしょう。

その計画が実現している姿が目に浮かぶくらい、ありありとイメージできるように具体的に仕上げていきます。

カテゴリ分けした人生の目標設定

チャンスの神様の前髪を掴むには

あなたが聖なる使命を果たした姿や未来のイメージが明確になればなるほど、そして聖なる使命が果たせることを信じ込み、信じ切るほど、人はその理想の姿を引き寄せる強力な磁石になっていきます。そして、チャンスや本物の協力者を引き寄せ、成功を積み重ねていくことが可能になるのです。

成功の芽としてのチャンスも、本物の協力者も、同じく必ず「人」を介在として、人を通じて現れてきます。そういう人と巡りあうには、常に求める気持ちを持っていることです。

これはよく「アンテナを立てる」と言われることです。「チャンスの神様には前髪しかない」と言われるとおり、チャンスの神様の足音が聞こえてきたときに、いつでもその前髪を掴めるようにするには、志を高く持ち、聖なる使命を心に持ちつづけ、熱意を絶やさないことが大事だと思います。

以上が、未来引き寄せ型での聖なる使命の果たし方です。

未来引き寄せ型で聖なる使命を果たすための手順

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