聖なる使命を果たそう ‐ 前編「成果積み上げ型」

|カテゴリ:企業経営とコーチング


本コラムでは、人生を懸けるだけの価値あるライフワーク「聖なる使命」を明確にできた方が、その使命を果たしていくための方法を述べてみたいと思います。聖なる使命を発見する方法については、「聖なる使命を見つけよう」をお読みください。

志は考え続けるもの

人は、誰もが例外なく生涯を閉じる日を迎えます。その瞬間に、わが一生を振り返って「自分は使命を果たすことができた。悔いのない、良い人生だった」と思って旅立ちたいものです。

志を立てようとするときに、「自分は何のために生まれて来たのか」と人生の目的や使命について考え、そのヒントを求めて自分の過去を振り返えったり、偉人伝を学んだりする方も多いと思います。

「わが志はこれだ!」と言えるものはなかなか見つからないものです。考えがまとまらなかったり、考えがコロコロと変わったりしていると、心が苦しくなることもあります。しかし、志を発見するためには、考え続けることが大切なのです。諦めずに求め続ければ、人生を懸けてやりたいことを発見することが出来ると思います。

そして、ついに「聖なる使命」を発見したときには、そのミッションを明確な言葉に変換して、一言で端的に表現することができ、また、一時間でもその内容について語ることができるようになるはずです。

聖なる使命を実現するために

ビジョンを描き続ける訓練

聖なる使命を発見することができたら、その目的が達成された姿をビジョン化してありありと心に描く訓練をすることが大事です。

心のなかで繰り返し想像することは、やがて創造作用が働き、現実化して顕れてきます。ですから、うまくいかないことが続いても、失敗をしても、挫折を経験しても、成功のビジョンを崩さずに、使命の実現を信じ、目的が達成された姿を描き続けることが大事です。

一旦、志を掲げても、多くの人は時間の中で敗れていきます。しかし、何が起こっても立ち上がり、前進を続ける人に対しては、未来はその扉を開かざるを得ないと言えます。

具体的な計画を立てて行動する

さて、一方でもう一つ大切なことがあります。

それは、志を崩さず、諦めない強い意志を持つと同時に、現実的な計画を立て、果敢に行動を積み重ねていくことです。聖なる使命を発見し、「やるぞ」という気持ちが起こったならば、それを言葉にし、ビジョン化する一方で、実現のための具体的な計画を立て、行動を起こすべきです。

その具体的な計画の立て方には、短期・中期的な行動を実践して未来へと積み上げていく方法「成果積み上げ型」と、未来のあるべき姿から引き寄せて現在の行動を決めていく方法「未来引き寄せ型」があります。

本コラムでは、P.F.ドラッカーの『経営者に贈る5つの質問』という著作を参考にして、前者の短期中期的な行動を実践して、未来に向けて積み上げる方法について述べたいと思います。

聖なる使命を実現するための実践項目

P.F.ドラッカー『経営者に贈る5つの質問』

この著作の中でドラッカー先生が説く『5つの質問』とは、「1.われわれのミッションは何か」「2.われわれの顧客は誰か」「3.顧客にとっての価値は何か」「4.われわれの成果は何か」「5.われわれの計画は何か」というものです。

では、この順番で思考し、実践するとどうなるでしょうか。

1.われわれのミッションは何か

ドラッカー先生の最初の質問は、ミッションを明確にすることから始まっています。これについては、前回のコラム「聖なる使命を見つけよう」で述べましたので、こちらをお読みくだされば幸いです。

2.われわれの顧客は誰か

これは「企業の目的とは顧客の創造である」と説いたドラッカー先生が得意とする質問だったと思います。

ひとつ目の質問「ミッションは何か」は、感性を開いて、自分の価値観や夢を探究する質問です。しかしふたつ目の「ミッションを果たす上で、あなたの顧客を明確にせよ」という質問に答えるには、かなり具体的で論理的な思考を要求されます。

コーチングでは、前者のように抽象度を高めて価値観や物事の本質に迫っていく質問を「チャンクアップ」といい、後者のように抽象度を下げて具体化していく質問を「チャンクダウン」というのですが、この場合、「ミッションは何か」という究極のチャンクアップの質問から一転、「顧客は誰か」という非常に具体的な質問が投げかけられています。

このふたつ目の質問には、はるか10年後、20年後のことを考えても答えられるものではありません。現在から遠くても3年後位を念頭にした顧客設定を行うことになるでしょう。ですから、『5つの質問』に対して明確な答えを出していくということは、短期または中期でのミッションの実現計画を立てていくことになります。

そして、仕事を進める過程で、この方法を繰り返し行うことで、最終的な聖なる使命を実現してく、という流れになります。

3.顧客にとっての価値は何か?

マーケティングの大家フィリップ・コトラー氏は、その著書の中で「マーケティング(Mark-eting)とは、的 (Mark) に命中させる能力のことなのだ。」「マーケティングの理想は、販売活動が不要になるところまで顧客を知り尽すことだ」と述べています。そうであれば、お客様の顔が思い浮かぶほど明確にしない限り、この質問に答えることはできません。つまり、顧客をできるだけ絞り込み、そのお客様が求めてやまない商品を考え出すことです。その方法として、ペルソナマーケティングをお勧めしたいと思います。

顧客を絞り込めば絞り込むほど、対象のお客様に“刺さる”商品を創り出すことができます。ペルソナマーケティングでは、顧客を“一人”にまで絞り込みます。

この質問への答えを日々に考え続け、理念に基づいたヒット商品を創り上げ続けていただきたいと思います。

4.われわれの成果は何か?

これは目標設定についての質問であると言えるでしょう。

顧客が大喜びする価値を提供したら、どんな成果を得られるかを考えます。本当に価値あるものを提供することができれば、お客様は必ずその付加価値の部分にお金を払います。ですから、顧客のニーズを深く知って、そのニーズを満たせば満たすほど、利益率の高い商品やサービスが生まれるはずです。

そのように考えたときに、いつ頃、どのくらいの販売実績を上げ、幾らくらいの収益を挙げることが出来るかをシミュレーションすることが大事です。このように成果を数値化して考えてみた時に、素晴らしい成果が期待できるなら、その商品やサービスはヒット商品になる可能性が高いと言えます。

5.われわれの計画は何か?

最後は、「計画」についての質問です。

目標となる成果を上げるためには、「どのような経営資源が必要か」「どのようなプロセスを踏んでゆくと希望が現実化するか」ということを具体的な計画に落とし込んでいきます。

この計画が実行可能であると信じることができてこそ、自信が湧き、ビジョンが明確に浮かび上がってくるでしょう。

あとは、計画に基づいて、PDCAサイクルを行ってゆくことです。

この『5つの質問』は、個別の事業や商品開発を行う際にとても効果的です。私自身も常々『5つの質問』に答えることで、企業の使命に基づいたヒット商品開発を行い、大きな成果を得てきました。

「成果積み上げ型」の行動計画を作るための5つの質問

「成果積み上げ型」と「未来引き寄せ型」

聖なる使命を実現していくために、今回のコラムで述べた『5つの質問』による方法は、成果を積み上げ、悩みを打ち破る力となると思います。

今後のコラムでは、聖なる使命をはたすためのもう一つの発想について、「聖なる使命を果たそう ‐ 後編『未来引き寄せ型』」として、未来ビジョンを明確にして未来を引き寄せる、逆算的な使命の実現方法について述べたいと思います。

このふたつの方法は、一見矛盾するように思えるかもしれませんが、両方が複眼的に見えるようになって初めて、聖なる使命を実現する方法を掴むこととなると思います。

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