聖なる使命を見つけよう
|カテゴリ:企業経営とコーチング
人は、ありありと描いたビジョンを引き寄せる力を持っていますから、自分自身の未来の理想の姿をハッキリと描くことが大事です。ですから、「ビジネスで成功したい」「お金持ちになりたい」という、積極的で前向きな理想を描くことはとても良いことです。
ただし、その理想を本当に実現するためには、もう一段、深い使命感、人生ミッションを持つことが必要になると思います。その理想が、自分自身や自分の家族、友人、または自分の会社など、自分やその周囲の成功の為だけのものであるなら、いま一つ力が湧いてこないことが多いし、その理想に共鳴して集まってくる協力者が得られにくいからです。
そこで、理想を描いたならば、その理想をもう一段深めて、「聖なる使命」にまで高めることをおすすめしたいと思います。
「聖なる使命」の意味
「聖なる使命」と聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか?「使命」という言葉だけでは表現できない、崇高な雰囲気を感じるのではないでしょうか。まず、「聖なる使命」の意味を考えたいと思います。
「聖なる」という言葉の意味
まず、「聖なる」という言葉からは「汚れがなく清らか」、「純粋で裏表がない」という雰囲気が感じられると思います。
また、漢字の成り立ちをたどってみると、「聖」という文字は、「耳」、「口」、「壬(てい)」の3つの要素で成り立っています。それぞれの象形は、
- 耳:神様の声を聴く
- 口:祈りを捧げる
- 壬:つま先立ち(挺立)した人
という意味を持ちます。つまり、「真摯な態度で神意を求め、その声をよく聴くことができること」と解釈できると思います。
「使命」という言葉の意味
つぎに、「使命」という言葉について考えてみたいと思います。
人は、誰もが生まれながらにさまざまな才能や資質をもっています。そして人生経験を積むなかでそれぞれの才能や資質を磨き、智恵を身に付けていきます。そうした才能や資質、智恵は、その人の「強み」です。その固有の「強み」によって、その人が成し得ることはたくさんあります。自分自身が気付いていなくても、必ず、すべての人に固有の「強み」があるのです。
使命とは、自らの強みを発見し、その強みにさらに磨きをかけて、最も多くの人の役に立てる仕事のことです。
「聖なる使命」とは
「聖なる」という言葉と「使命」という言葉の語源にさかのぼって考えてきました。そこで「聖なる使命」の意味を考えたいと思います。
結局、「聖なる使命」とは、私心を去って多くの人に善を為さんとする純粋な志であり、同時に自分自身の強みが最も活き、完全燃焼することができる人生を懸けるだけの価値あるライフワークであると言えます。
聖なる使命を自覚すると
聖なる使命を自覚すると、その理想実現がどんなに大きな困難を伴うものであったとしても、力強く前進することができるようになります。それはなぜでしょうか。私は、聖なる使命を自覚した人には、共通した3つの特徴があるからだと思います。
(1) 熱意と信念が湧いてくる
大きな理想を掲げると、たいていの場合、周囲から「そんなことはムリだ」「できっこない」という声が聞こえてきたり、先を歩むライバルが現れたりします。そんな時、自分の欲得が勝っていると、「もっと現実的に考えたほうが良いんじゃないか」というネガティブな内なる囁きが聞こえてきて、簡単に腰砕けになってしまうのです。
ところが、聖なる使命を自覚すると独立不羈の精神が生まれます。独立不羈とは、「他からの束縛を全く受けないこと。他から制御されることなく、みずからの考えで事を行うこと」という意味です。「私の仕事は、自分を超えた多くの人を幸せにするのだから、誰が何と言おうと、私は必ず成功する!」と言い切れるようになるのです。
自分の理想が純粋化して、聖なる使命に近づくほど、その実現への熱意と信念が強くなっていく傾向があると思います。
(2) 協力者が集まってくる
聖なる使命を自覚している人の持つ熱意と信念は、何も言わなくても周りにいる人たちに伝わります。心に秘めた熱意と信念が強力な磁石のように働き、理想を共有し、そして、ちょうどその人の短所を埋め合わせる強みをもった協力者が集まってくるようになります。
(3) 仕事を心から楽しめる
聖なる使命を自覚して仕事に励むようになると、あなたの才能や経験が本当に活きてくるようになります。そして、仕事に心からやりがいを感じ、毎日の仕事が本当に楽しくなり、感謝の気持ちが高まっていきます。
しかし、今のところ聖なる使命が見つかっていないという方も、今やっていることに何一つ無駄はありません。遠回りをしているように思えても、実は、あなたが聖なる使命を果たすために必要な経験をしているものなのです。ですから、目の前に表れていることには必ず意味があります。目の前に与えられた仕事を前向きにとらえ、建設的に考えることで道が開けていきます。
組織にとっての聖なる使命
聖なる使命を自覚することの大切さは、組織であっても同じです。優れた組織の場合には、「聖なる使命」が「経営理念」として明文化されています。
経営者がいくら優れた人であっても、経営理念なくしては、多くの人を感化し、組織を動かすのはとても難しいことです。優れた経営者ほど経営理念の大切さを知り抜いていて、「わが社は何のために存在するのか。何をもって世の役に立つのか」という使命感を言葉にし、全社員に浸透させて、やりがいを持って積極的に働く人を増やし、仕事の判断の基準として用い、商品やサービスの品質を向上させています。
「多くの人の役に立つ」という「信念」を言葉に表した経営理念には、人を感動させる力があり、組織に所属する人たちを奮い立たせ、仕事に誇りとやりがいを与えるのです。
聖なる使命の見つけ方
では、どうやって、聖なる使命を見つければよいのでしょうか。実際に私がコーチングのセッションで行っている「聖なる使命の見つけ方」をご紹介します。
私のコーチングでは、4つのステップに基づいてクライアントさんに質問を重ね、それが本物であるかどうかを点検することで、聖なる使命を発見していきます。
まず、次の手順で、聖なる使命の基となる、あなただけの志を発見します。
(1) 自分には使命があると信じる
聖なる使命を見つけるためには、まず、「私は、自分にしか成し遂げられない役割を帯びてこの地上に生まれてきた」という事実を受け入れ、それを発見しようと心することから始まります。するとアンテナが張られ、日々の出来事からさまざまなヒントを発見することができるようになるでしょう。
(2) 強みを発見する
つぎに、あなたの強みは何かを考えて紙に書き出してみてください。そして、できれば、あなたが心から信頼する数人の人たちに、「私の良いところをすべて紙に書いて戴けませんか?」とお願いしてみてください。これを実践して、そのリストを見れば、書かれている内容がほとんど一致していることに驚くはずです。
信頼する人たちはあなたの強みを実によく知っているものです。自分では思ってもみなかった長所が複数の人から挙げられていたら、それは「自分の知らない自分の強み」です。
(3) 「自分の知らない自分の強み」を腑に落して自分のものにする
このようにして「自分の知らない自分の強み」を発見できたなら、過去の人生を振り返って、その強みが活かされていたシーンを見つけ出してください。そうすることで、強みを自覚することができるようになります。それは一つの大きな資源を手にしたということです。
(4) あなたの可能性が最大化した姿をイメージする
さらに、あなたの強みが持つ可能性が最大に花開いたら、何ができるのかをイメージしてみてください。それがあなただけの志と言えるものです。
これを考え続けることで、あなたに与えられた天賦の才が見つかるはずです。
聖なる使命が本物であるかを確認する
あなただけの志をつかむことができたと思ったら、次の3つの指標によって、それが本物であるかを確認してみてください。本物であると確信できたなら、その志は「聖なる使命」と言えるでしょう。
(1) 志が純粋かどうか
まず、「聖なる」という言葉の意味は「真摯な態度で神意を求め、その声をよく聴くことができること」ですかから、その志が純粋かどうか、心から世のため人のためを思っているかどうかを心に問うてみてください。
そこに私欲が混ざっていると、他人や世間に敏感に見抜かれてしまいますから、裏表がなく、決して裏切らない真の協力者、マスターマインドが集まってくることはありません。
ちなみに、「私心や私欲を去る」ということは、「清貧に甘んじる」という意味ではありません。豊かになることは善いことです。ただし、自分を利することが第一目的になってはいけないということです。
(2) 喜びが伴っているかどうか
つぎに、その仕事を進める時に、喜びが伴っているかという点に注目してください。「仕事が楽しくて仕方がない。朝起きたら早く仕事がしたくて仕方がない」というほど夢中になれることならば、それは目的が正しく設定され、自分の強みを活かせる、本物の「聖なる使命」であると言えるでしょう。
(3) 自信にあふれているか
今までに無かったような新しい仕事を始めようとすれば、必ず周りから「そんなことはムリに決まっている」「止めた方がいい」と反対されるに違いありません。しかし、聖なる使命とは、“大義名分”でもあります。「この仕事を進めるほど、多くの人を幸せにできるのだ」と心底思える仕事であれば、周りからどんなに否定されても、自信を失うことはありません。その周囲の否定的な声を跳ね返せるほどの自信が湧き上がってくるならば、それは本物の「聖なる使命」であると言えるでしょう。
あなたが発見した志は、ここで述べた3つの指標に適っているでしょうか。
もし、まだそこまで行っていないとしても、その志が“にせもの”であるわけではありません。まだ何かの要素が欠けているだけなのです。ですから、諦めずその志を本物の「聖なる使命」に育て上げてください。
心から他の人の役に立ちたいという気持ちになり、あなたという個性の花が満開になった状態。それが聖なる使命を発見した姿なのです。
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