ヒットする新商品・サービスを開発するためのコンセプト
|カテゴリ:企業経営とコーチング
売れ行きが好調な商品やサービスがあって、現在の業績が良好であるとしても、諸行無常の言葉どおり、お客様は飽きやすいものですし、市場は変化し続けています。また、季節変動などの環境要因によって売上が安定しない業種も多いと思います。
たとえば、内科クリニックでは風邪をひく人が少ない夏場、エステサロンでは厚着をする冬場などが閑散期になり、売上の季節変動が起こりやすくなります。
そこで、普段から新商品や新サービスのアイデアを貯めておき、新しいヒット商品を定期的にリリースしてゆく仕組みをつくることが、永続的な経営発展には欠かせません。
このコラムでは、私自身が過去にヒット商品を生み出した事例をまじえ、ヒットする新商品・サービスを開発するための2つのコンセプトについてまとめました。これから新商品、新サービスを開発しようとお考えの社長様や開発担当者様に、ご参考になればと思います。
ニーズやクレームに応える商品開発の難しさ
当たり前のことですが、より多くの人の役に立つ商品やサービスを生み出せば売上は伸びます。そして、お客様の満足が大きければ大きいほど高い利益を得ることができます。
そのような、「多くの人の役に立ち、深く満足していただける」商品を創り上げるには、何が必要でしょうか。まずは、お客様が「不便に感じていることは何か」「不満を持っているとは何か」に焦点を当てることが一つの方法です。しかし、お客様にアンケートを取っても、なかなか本心を明かしてくださることは少ないものです。
また、商品やサービスの質が悪ければ、殆どのお客様は何も言わずに去っていくもので、クレームを言ってくださることは希ですから、顧客のニーズを掴むことの難しさを感じている社長も多いのではないでしょか。
その難しさの限界を超える方法を、私自身が経験した新商品開発の事例でご紹介したいと思います。
「お客様は正しい。市場は正しい」と心してヒット商品を生み出した私の経験
私が以前経営していた介護事業の会社で、低調な商品がありました。そこで私は、なぜその商品をご購入いただけないのかを、当社の別のサービスを受けてくださっているお客様に直接訊いて回りました。すると、お客様は別のサービスは受け続けたいので、当然ですが “建前そのもの“ と言った返事しか返ってきません。そのまま受け取ってしまえば手の打ちようはありません。
私たち会社側の立場としては、本当に苦心してつくり上げた商品でしたし、良い商品であるという自負もありました。ですから、心の片隅では「PRの仕方が悪いだけなのではないか」とか「お客様の使い方に問題があるのではないか」などというふうに弁解していたのです。
しかし、ここでようやく私は自分を正当化するのを止めて、お客様が商品を買ってくださらないのは、100%社長である私の責任であることを受け入れて、お客様ご自身の立場になりきって、ご不満や、困っていることにフォーカスするようになりました。
そして、ついに、お客様が本当に欲しいと思ってくださる新商品を開発することに成功し、本当に多くのお客様が心から喜んでくだるようになりました。その結果、テレビ局から取材を受けたり、雑誌に取り上げられたりしたことも手伝い、年度目標を大幅に上回る増収増益を実現することが出来ました。この時、つくづく「お客様は正しい。市場は正しい」という考え方の大切さに気付かされました。
ヒットする商品をつくる2つの基本的なコンセプト
そもそも、お客様のニーズというものは矛盾していることが多いと思います。たとえば、ダイエット関連のサービスを開発しようと考えてニーズを探ってみるとすぐに矛盾にぶつかります。お客様は「スリムな身体を手に入れたい。でも私、白いゴハンが大好きで絶対止められないのよ」という具合です。
でも、私がヒット商品を開発できたのは、この矛盾を乗り越えることに成功したからなのです。お客様の矛盾する二つ以上のニーズを解決することができれば、必ずヒット商品になるでしょう。
ダイエット商品の例で考えると、ヒット商品を開発する基本的なコンセプトは2通りあると思います。
コンセプト1.お客様のニーズに応える
お客様の矛盾するニーズにそのまま向き合って、食事の満足度を下げずにダイエットできる方法を提案する。
コンセプト2.お客様にビジョンを提示する
お客様にダイエットに成功した理想のビジョンを提示することで、お客様のダイエットに対するモチベーションを高めて、「生活習慣を変える」という苦痛を乗り越えられるだけの力のある提案をする。
つまり、「お客様の “わがまま” とも思えるようなニーズに対し、ストレートに応える」というコンセプトと、「生活習慣を楽々と乗り越えられるような “ニンジン” をぶらさげてモチベーションを高める」というコンセプトです。
顧客を絞り込んでファンを創るペルソナ・マーケティング
ちなみに、私は2番目の方法で、ヒット商品を開発することに成功しました。この商品を開発した時に用いた手法が「ペルソナ・マーケティング」です。この方法は世の中の数多くのヒット商品を生み出している手法の一つです。
マーケティングの世界では、「顧客を絞り込めば、絞り込むほど成功する」と言われています。しかし顧客の絞り込みは難しいことです。そこで、「ペルソナ・マーケティング」の登場です。ペルソナ・マーケティングは、実際に商品やサービスを購入してくれる、一人の架空の人物を想像して、その顧客のニーズを徹底的に満たす商品やサービスを開発するというマーケティング手法なのです。
特定の個人だけが満足するように創り上げていくため、一部の人にとってはとても魅力的で、熱狂的に迎えられる、非常に差別化された商品やサービスを生み出すことができます。ペルソナ一人を確実に振り向かせる商品を作ると、実際にはペルソナに似た嗜好の方は数多く存在しますから、強力なファン層を作ることができるのです。
経営発展コーチングのセッションで、ヒット商品・サービスの開発を支援する場合には、このペルソナを設定して、差別化した商品・サービスを開発してゆきます。
ヒット商品を次つぎと押し寄せる波のように繰り出す
このように、ヒット商品を作ってゆく手法はさまざまにあるわけですが、ヒット商品の元手となるのは、何と言ってもアイデアです。アイデアは時にインスピレーションとして降って湧いてくることがありますが、何か別のことを考え始めると、すぐに忘れてしまいます。そこで、アイデアをつくり貯めるため、私自身、仕事部屋はもちろん、自宅のベッドサイド、トイレなど、いたるところに小さなメモ帳を用意しておき、何かを思いついたらすぐにメモを取るようにしています。
また、アイデアを得るには元になる情報が必要です。経営学の父と言われるドラッカー博士の「すべての成果は組織の外にある」との言葉にしたがって、街を歩く時にも、街自体の変化や、人気のあるショップを観察したり、人の動きに注目して考えるようにします。こうすることで、私自身の商品開発のヒントを得ることもできますし、私のクライアント様のヒット商品・サービス開発のアイデアが湧くことも多くあります。
このように、常日頃、商品のアイデアについて考え続け、波が何度も押し寄せてくるように、大小のヒット商品を放ちつづけるための計画を立て続けることが、永続的な会社の発展のために、とてもとても大切なことであると思います。
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