社長がコーチングを学ぶメリット【コミュニケーション編】

|カテゴリ:企業経営とコーチング


社業を発展させるための知識やアイデアを求めて勉強を重ねている社長は、数多くいらっしゃると思います。しかし、社長がコーチングを習得することで、会社を発展に導き成功するための一つの考え方としてとて役立つことを、ご存知の社長は多くありません。

このコラムでは、「社長がコーチングを学ぶメリット【コミュニケーション編】」と題して、コーチングの魅力とメリットについて考えてみたいと思います。

社長の本当の成功とは

社長がコーチングを学ぶメリットを述べる前に、「社長であるあなたにとっての成功とは何か」について今一度考えてみたいと思います。目指している成功がどういうものかがハッキリしていないと、そこに辿り着くことが出来ないからです。

社長であるならば、会社の売上が上がり利益が増えること、つまり「儲かる」ことは、成功の要素として当然必要です。しかし、単に儲かるだけでは、本当の成功とは言えないこともまた当然です。

会社が儲かって大きくなったとしても、働き詰めで健康を害したり、社員たちがイヤイヤ仕事をして疲弊していたり、家族の心が離れてしまったとしたら、それは成功とは言い難いでしょう。

経営発展コーチングでは、本当の成功とは、「社長をはじめ全社員が、自分の仕事が人の役に立っているという充足感があって生き生きと働き、皆が成長している状態であること」と考えています。

また、「社長の身体が健康で、家族との絆が深く、心の安らぎが伴っている状態であること」も大事です。

そして、お客様からはお金をお支払い戴いて、なおかつ感謝の言葉をかけていただけるような仕事ができてこそ、事業が成功していると言えると思います。

さらに、「高い付加価値を持った商品やサービスを常に開発・改善し、差別化を図ること」も、会社の成功のために重要なことです。

経営発展コーチングは、ここに挙げたことすべてに有効です。会社の未来ビジョンや中間目標、短期計画などについて、事業を深く、多角的に、体系的に考えることが出来るツールがあります。これらを活用すれば、会社の経営理念や目標、行動計画を立てて、行動の阻害要因を解決し、会社の目標に向かって着実に、時間を短縮して進むことができるようにもなります。

これらのことについては別の機会に詳しく述べることにして、本コラムでは、社長と顧客や社員の間の直接的なコミュニケーションに関係する内容に絞って述べたいと思います。

コーチングの「対話のスキル」を学ぶ

コーチングとは、対話を通じて相手に良き変化を起こすものです。そのような建設的な対話をするための基礎スキルとして主に

  1. 傾聴のスキル
  2. 承認のスキル
  3. 質問のスキル
  4. フィードバックのスキル

があります。これらのスキルを学び、使えるようになると、相手との信頼関係を築く能力が非常に高まります。

では、社長がコーチングを学び、そのスキルを身につけることが、事業経営において発生するコミュニケーションにおいて、具体的にどのように役立つのかを見ていきましょう。

メリット1. 営業力が増す

事業が成功するためには、まずは商品力です。イノベーションによって高付加価値の商品をつくり出し、マーケティングによってお客様のほうからその商品を求めてくださるように智恵を尽くすことが大切です。

そして、良い商品ができたならば、やはり、商品やサービスの購入を直接的に促す営業力・販売力の必要性も残ります。

この営業や販売の場面で役立つのが、コーチングの基本スキル「傾聴のスキル」や「承認のスキル」、「質問のスキル」です。

傾聴のスキル

傾聴のスキルとは、相手の話に集中して、先入観を持たずに全身を耳のように傾けて聴き、相手を理解することです。

承認のスキル

承認のスキルとは、相手の話のなかで共感できる部分に注目して、その共感を言葉として表すことです。

質問のスキル

質問のスキルとは、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの2種類の質問の仕方を的確に使い分けて、相手の考えを深めたり、まとめたり、迷っている事柄について自信を持って決断を降すことができるようにしたり、時には説得することができる素晴らしいスキルです。

さて、営業の場面では、お客様の話を聞くだけでなく、こちらの商品の魅力について熱心に伝えることも大事でが、お客様は都合よくこちらの話を聞いてくれないものです。

そこで、商品説明をする前にコーチングのスキルを使えば、お客様と心が通じ合う状態を意図的につくり出すことができるようになります。お客様との間に信頼関係を築くことで、お客様は心を開いて、あなたが紹介したい商品やサービスについての話を真剣に聴いてくださるようになります。

「傾聴」や「承認」のスキルは、訓練をすれば誰でも身に付けることができ、コミュニケーションで効果的なスキルです。これらのスキルを身に付けることで、営業でのコミュニケーション力が増し、多くの人から信頼を得ることが出来るというメリットがありますので、ぜひ社長にマスターしていただきたいスキルです。

メリット2. 社員とのコミュニケーションが円滑になる

コーチングのスキルを活かしたコミュニケーションは社内でも有効で、社員とのコミュニケーションが円滑になるというメリットがあります。

社内でのコミュニケーションの場面は、社員との一対一の対話、ミーティングや会議などでの双方向の対話、社長が社員たちの前でスピーチを行い目標や方針を伝える場面があると思います。つまり「一対一」「双方向」「一対多」の三種類のコミュニケーションがあるということです。

このいずれの場合でも、コーチングの基本スキル「傾聴のスキル」や「承認のスキル」、「質問のスキル」を使うことで、コミュニケーションがうまく取れるようになります。

一対一の場面

社員との一対一の場合には、社長の言うことを一方的にきかせようとするよりも、傾聴のスキルによって相手の気持ちを理解することから始めるほうが、かえって時間短縮になります。そして、社員の言葉の中から美点を見出してフィードバックする承認のスキルを意識して使うことで、相手は「社長は自分のことを分ってくれている」ということを理解し、心を開くようになります。さらに、質問のスキルに熟達すると、相手自身が問題に対する最善の答えを出せるように導くことができます。

コーチングでは、相手の気持ちを理解して心が開いた状態を「ラポール」といいます。もともとは心理学用語で共感関係が築けた状態のことを指す言葉です。

「傾聴のスキル」や「承認のスキル」の大きな目的のひとつは、対話の相手とラポールを築くことです。

お互いの間に共感が生まれてこそ、社長の言葉が社員一人ひとりの心に届くようになるのです。

双方向での場面

ラポールを築くためのスキルは、会議などの一対多の場面でも有効です。

会議などの場合には、一回に話すのは一人ですから、発言者一人ひとりの言葉を傾聴し、承認するところまでは一対一のコミュニケーションと同じです。社長が考えを述べる前に、全体との間にラポールを築くことを意識してみてください。コーチングのスキルを熟達すれば、最高の結論を得ることが出来るようになるはずです。

一対多での場面

さらに、ラポールはスピーチなどの一方通行の場面でも効果的に働きます。

この場合は相手が複数で、しかも相手はしゃべりません。しかし、心を鎮めて参加者全員の心の声に耳を澄ますと、全体に共通するニーズが見えてきます。その全体のニーズを理解した上で、スピーチのなかで全員を承認し、相手に共感する内容を取り入れてスピーチすることで、一方通行のコミュニケーションも、参加者一人ひとりとの対話のような形になり、スピーチの効果がグンと高まります。

メリット3. 社長が善き教育者となる

このように、社長がコーチングのスキルを使うと、社内でのコミュニケーションはとても円滑になります。そして、より、社員たち一人ひとりの成長を促す力が出てきます。

社長が、社員への信頼を土台として、質問のスキルを使うと、社員一人ひとりが自発的に成すべきことを考えるようになるからです。「社長に信頼されている」という自信の中で、自分で成すべきことを自ら決めるため、仕事に対するモチベーションは非常に高まります。すると、社員たちは目に見えて成長してゆきます。

このように、社長がコーチングを学び、スキルを身に着けると、社員に対する良き教育者になれるというメリットあります。

社員一人ひとりが成長することは、その集合体である会社の発展を意味しますから、社長が理念や目標を達成するために善き教育者となることは、とても大切だと思います。

会社の成長に欠かせない社長のコミュニケーション

経営発展コーチングでは、コミュニケーションに成功する者のみが成果を上げることができると考えています。成果を上げるには、他人の好意と協力を得て、より良い変化をもたらすことが必要だからです。

あらゆる仕事は、必ず他人との関わりが生じます。コーチングのスキルを使えば、お客様、部下、取引先など、どんな立場の人とでも良好なコミュニケーションを取ることは可能です。

ですから、社長は人々を良い方向に導く役割を担うリーダーとして、ぜひコーチングのスキルを身につけるべく、コーチングを繰り返し学んで頂きたいと思います。コーチングのスキルが熟達すれば、人の潜在能力を開花させ、成長を促す力が湧いてきます。そして周りの多くの人が協力者に変わることを実感するでしょう。

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