二代目社長の成功に必要な独立不羈の精神

|カテゴリ:企業経営とコーチング


二代目社長の成功

成功する経営者の資質

会社を成功に導くことにおいては、ピーター・ドラッカー先生がおっしゃるように、社長の性格はあまり関係がありません。カリスマ性のないリーダーや、内気な社長でも成功することがありますし、決断力に富むワンマン社長が成功する例もあります。

しかも、ドラッカー先生は、「私がこれまでの65年間コンサルタントとして出会ったCEOのほとんどが、いわゆるリーダータイプでない人だった」(『経営者の条件』)と述べています。

ドラッカー先生の言葉を要約すれば

社長として成功するためには、経営者として知るべきことを知り、成果をあげる習慣を身につけ、組織について正しく考えることができればよい。

ということになると思います。

しかし、社長にとって、どうしても必要となる能力があります。それが独立不羈の精神です。

独立不羈とは

「独立」を辞書でひいてみると、「他に頼らないこと」「他の束縛や支配を受けないこと」とあります。

独立不羈

一方、「不羈」はあまり目にすることがない言葉ですが、「羈」は、馬を繋ぎとめる頭部から頬にかけての紐を表す会意文字です。

つまり、「馬が革のクツワをはめられて厩のなかに繋がれている」状態です。これに否定の「不」がついていますから、「一切の束縛や制約を受けず、自らの決断によってのみ行動する」という意味になります。

「独立不羈」は、「独立」と「不羈」という同じような意味を持つ熟語が重なっているため、その意味が強調された力強い言葉になっています。つまり、独立不羈とは

常識や人の言葉にとらわれず、自己の信念に基づいて考え、行動する、自律型の人

と言い換えることができるでしょう。

独立不羈の精神をもつ社長とは、どのような不利な環境下に置かれたとしても、“不可能”という言葉を受け入れず、人間が持つ創造的な力によって、必ず状況を好転できると信じ、発想力と行動力によって、環境そのものを変えてゆく人です。

中小企業の事業承継は息子が最も多い

中小企業における事業承継した経営者と後継者との関係の割合

2019年版「中小企業白書」第2部によると、グラフに示すように事業承継の約半数が子供または子供の配偶者に行われています。その中でも、息子に事業を承継する割合が42.8%と、最も多いことがわかります。

もともと会社を継がせることを考えている創業社長のなかには、御子息を他企業等に武者修行に出し、自分の思い通りにゆかない厳しい環境のなかで磨きをかけ、独立不羈(どくりつふき)の精神を身につけさせることに成功する場合もあります。

しかし、御子息が生まれ育つ時期によっては、御子息の幼少期には父親である社長が非常に忙しいために、十分に養育に携われないことがあります。それが原因して、御子息とのコミュニケーションがうまくゆかなかったり、裕福な生活のなかで甘やかされて育ったりしたために、独立不羈の精神が育ち切らないうちに、会社を継ぐ時期が来てしまうケースも数多く見受けられます。

独立不羈の精神を持たない社長とは

独立不羈の精神を持っていない社長は、依存心が強くなってしまいます。人の意見に右往左往し、自分で決断ができなくなってしまいます。独立不羈の精神を持つ社長は、社員の意見に十分に耳を傾け、情報を集めた上で、最終決断は自らの信念に基づいて行います。

社長の最大の仕事は、社運を左右する重大な決断を下すことですが、独立不羈の精神がなければ、社長の最大の仕事を他人の手に委ねてしまうこともあり得るのです。

そうすると、新商品やサービスを開発し、新しい事業をスタートさせたとしても、うまくいかなかった場合には、他人や環境のせいにしてしまいます。

依存心の強い人は、成功を受け取る器が出来ていないため、成功が目前に迫ったときに、必ず転落していく傾向があります。

自分自身の力で血路を開く気概がなければ、常に心配・不安・恐怖心が頭の中を占めてしまいます。そして、いずれそれを的中させてしまうのです。

独立不羈の精神を持った社長には協力者が集まる

独立不羈の精神を持つ社長は、責任感が強く、自らの信念に基づいて決断し、不利な環境にも屈せず、血路を開く力があるということを述べました。

さらに、独立不羈の精神を持つ社長の元には、協力者が集まりやすいということがあります。「類は友を呼ぶ」の諺どおり、協力者も独立不羈の精神を持つ人が集まりますから、その協力関係が長期にわたってうまくいく傾向があります。

大きな事業を成し遂げるためには、よき協力者が必要です。鉄鋼王アンドリュー・カーネギー、その教えを体系化したナポレオン・ヒル博士が述べている「マスター・マインド」とは、このような関係であると思います。

独立不羈の精神を持つためには

独立不羈の精神を持つためには、以下の2つの心がけが大事だと思います。

気力を起こして義務や責任を果たす

人間誰しも、義務や責任からは逃れたいと思うものです。しかし、それは自己中心的な考え方であり、社長がそのような姿勢でいると人の心が離れてしまいます。

二代目社長は、自分の権利を振りかざすことができる立場にあるかもしれません。しかし、それを抑え、あえて気力を出し、「社長としての義務を果たす」「社長として責任を取る」という方向で努力を重ねることで「徳」が生まれます。

その徳が周り人の心をつかみ、事業の成功を加速させる力になってゆきます。

自律的人間になる

独立不羈とは、言い換えれば自律的であるということです。

特に、社長の立場に立つと、耳に痛いことを言ってくれる部下は少なくなりますから、自分で自分を律する心の態度を身につけることが非常に大事です。

成功する人は、すべてを自分の責任として考えます。もし、自分に落ち度がないとしても、「事前にそこまで考えを巡らせておかなかった自分にも責任がある」と、あくまで自分の責任として考えます。

人間である以上、誰でも自分に甘くなりがちですが、人生のどこかで、そのように自律的な考え方を身につけることができれば、成功の軌道に乗り始めるはずです。

さまざまに厳しいことを述べましたが、実は、これは私自身の経験からお話していることです。私も以前は、依存心が強いタイプで、成功と失敗を繰り返してきたのです。

私は3回目の失敗をきっかけに、独立不羈の精神に目覚め、努力して、義務と責任を果たし、自律的人間になるように努力してきました。それが、現在の発展に直結していると感じています。

ぜひ、独立不羈の精神を養い、他社や、他の社長と自分を比較するのではなく、自分自身の個性や、培ってきた能力の中から、自分の「強み」を発見して頂きたいと思います。そして、自分自身の中にある力によって、いかに勝利していくかを考え抜き、会社の発展の道を拓いていただきたいと願います。

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